企業の「収益」と「株価」の関係

個別企業の株価を最も大きく左右するのは、その会社の「収益」です。

企業の利益は、経営の「上手」「下手」や、新製品投入の成功・不成功などによって変わります。経営がうまくいって利益が出ればいいのですが、失敗して利益が出ないこともあります。 収益が悪化し、倒産・破産した場合は、その会社の株式の価値はゼロになります。

借入と出資の違い

企業がお金を調達する方法には、株式の発行や銀行からの借り入れなどがあります。 このうち、借入金はいずれ貸し主に返すお金です。 例えば100億円を借り入れたら、 100億円に利息をつけて返済しなければなりません。 会社の利益が出なかったとしても、返す必要があります。 このため、赤字続きで手元の金が減ってしまった企業が、借入金を全額返済しようとすると、株主から調達したお金(資本金)を振り向けるしかなくなります。

出資金は、株主に返済する義務がない

株式会社は、株式の発行によって株主から調達したお金(出資金)を返す必要がありません。株主が出すお金は「借り入れ」ではなく「出資」だからです。 このため、出資金で借金返済を続けていると、株主の持ち分がどんどん減少していくことになります。

借金返済不能で倒産

さらにその状態が続くと、現金が枯渇して、資本金が底をつきます。 銀行からの借金を返済できなくなり、倒産することになります。 倒産すれば、株式は価値がゼロになります。出資したお金が戻ってこなくなるのです。

収益が株価を決める

利益がきちんと出ていれば、借入金を全額返済しても会社にお金が残ります。 その残ったお金は、一義的には、株主のものです。 お金がたくさん残れば株主の持ち分が増えるし、残らなかったら増えません。 結局のところ、収益が出ているかどうかが、株価を決定づけることになります。

利益の「予想」が反映される

投資家は、企業の将来の利益を予想しながら株を売買します。 収益が将来にわたって良くなる見通しであれば、株価は上昇します。 悪くなる見通しなら株価は下落します。 そのようにして、株価は企業の将来の業績を織り込んでいくのです。

他にも株価が変動する理由がある

ただ、基本的な価値が将来の企業収益で決まるにしても、日々変動する株価の動きを説明するには不十分です。 なぜなら将来の企業収益が常に数時間や数十分単位で大きく変化していると考えるのは不自然でしょう。 実際には、ほかの要因でも株価は変動しています。 例えば、経済全般の動向は株価変動の要因の一つです。 株式の需要と供給の関係も、株価の動きに影響を与えます。

楽観・悲観・期待・失望が入り乱れる

企業収益や期待する投資収益率などは、それを予想する人によって異なるものです。 だからこそ株式市場には、売りたい投資家と買いたい投資家の注文が同時に流れてきて、売買が成立するのです。 売買に参加する各投資家の楽観論・悲観論・期待・失望が入り乱れて、 その結果が刻々と反映されて株価が形成されていきます。

需給関係はあくまで脇役

株価が需給関係や市場心理に強い影響を受けるとはいえ、 長期的に見れば株価は企業収益を基本に形成されています。 収益を株価変動要因の主役(メイン)とすれば、需給や市場マインドは脇役(サブ)だと考えたほうがいいでしょう。